国際商事仲裁において、「仲裁地」は単なる地理的問題ではなく、仲裁の法的概念としての意味を持つ。より具体的には、仲裁の手続及び仲裁判断の執行と関連して重要な意味を持つ。
仲裁手続
伝統的な理論によれば仲裁地は仲裁人に対してあたかも訴訟における法廷地 (forum)のような意味を持つので、仲裁手続は当然に仲裁地の法によることとされていた。
しかし、近時、そのような意味は弱くなっている。仲裁の手続的問題(例、仲裁人の構成、仲裁人の権限、仲裁の申し出、本案審理、証拠調査、仲裁の進行、保全処分、仲裁判断の方式と効力及び取消など)は仲裁地法によって規律されるが、当事者はそれと異なることを定めることができ、当事者の合意がない場合にはじめて仲裁地法が適用される。さらに、当事者の合意によって、国際商事仲裁を特定の国家の法から切り離そうとする試みもある。
仲裁判断の執行
仲裁地は仲裁判断に対するニューヨーク条約の適用いかん(これは仲裁判断の国籍の問題である)、当事者の合意がない場合に、仲裁合意の成立と実質的有効性の判断、仲裁判断の承認及び執行と関連した相互主義の適用、及び仲裁判断に対する不服手段と仲裁判断を取消又は停止できる国際裁判管轄を持つ当局の決定などにおいて意味を持つ。
さらに、伝統的な理論によれば、①当事者が紛争の実体法の準拠法を指定しなければ、仲裁人は仲裁地の抵触法に従って準拠法を決定した。②実体に関する仲裁地の国際的強行法規は'まるで法廷地のそれであるかのように、仲裁人によって当然に適用されるものとして理解された。しかし、主要な国際仲裁規則及び主要国の立法上、実体の準拠法決定において、仲裁地は法廷地としての意味をかなり失っている。
さらに、伝統的な理論によれば、①当事者が紛争の実体法の準拠法を指定しなければ、仲裁人は仲裁地の抵触法に従って準拠法を決定した。②実体に関する仲裁地の国際的強行法規は'まるで法廷地のそれであるかのように、仲裁人によって当然に適用されるものとして理解された。しかし、主要な国際仲裁規則及び主要国の立法上、実体の準拠法決定において、仲裁地は法廷地としての意味をかなり失っている。