頻繁に国際仲裁合意の有効性及び解釈について紛争が生じる。主要国際仲裁規則及び国内法は仲裁合意の推定法的強制力を定める。それにもかかわらず、当事者は、おなじみの契約法の原則と仲裁固有の理由の両方で国際仲裁合意の執行に抵抗するかもしれない。
とりわけ、仲裁合意の有効性は、通常、作成における欠陥、能力、詐欺的勧誘、不当性、違法性、及び権利放棄の欠如などの一般的に適用可能な契約法の原則の下で、挑戦されうる。実質的な問題と法の選択問題の双方にかかる。国際仲裁における法選択の複雑さは、迷路のようである。
国際仲裁合意の執行はまた、仲裁固有の理由で抵抗されうる。最も重要なのは、実質的にすべての国の法律の下で、紛争又は請求の一部のカテゴリは「仲裁不可能」である。仲裁不可能 である請求の区分は、国によって異なるが、一般的には法定の保護(例えば、競争法・独占禁止法、従業員・消費者保護、証券法)、又は 公共政策 の問題に基づく請求を含む。ニューヨーク条約及びその他の国際仲裁規則は、限定的に、これらの仲裁不可能性の例外を認識し、認める。
ほとんどの先進法域で(米国を含む)、機関仲裁規則と国内法令は、仲裁合意は、基礎となる契約からの「分離」という原則を認識している。その結果、基礎となる契約の作成、妥当性、又は適法性は、一般に仲裁合意の有効性には影響を与えない。分離可能性の法理は、国家裁判所や仲裁廷のいずれにおいても、仲裁合意への挑戦の根拠を制限する上で重要な役割を果たしている。
最後に、国際仲裁合意の作成、正当性又は範囲をめぐる紛争は、能力やフォーラム選択の問題を提示する。先進国の仲裁法令や機関仲裁規則は、特定の状況及びそれ以降の司法審査の対象において、 仲裁人が仲裁合意の形成、妥当性や解釈上の紛争を判断する権限を行使することができる 、と定めている。いわゆる、「competence-competence」法理を反映する。国際仲裁契約に関する紛争は、仲裁裁判所により決定されない場合には、どの 国内裁判所がそのような紛争を解決する能力がある かという問題が起こる。