ニューヨーク条約は、仲裁合意の施行に歴史的な障害の放棄を確認し、代わりに仲裁合意の推定的有効性及び執行を定めた。
具体的には、この条約第二条(1)は「各締約国は、契約に基づくものであるかどうかを問わず、仲裁による解決が可能である事項に関する一定の法律関係につき、当事者の間にすでに生じているか、又は生ずることのある紛争の全部又は一部を仲裁に付託することを当事者が約した書面による合意を承認するものとする。」という義務規定を定める。この義務は、仲裁合意のすべての重要な条件(例、仲裁地の選択、仲裁条項の範囲、仲裁人の選定、機関ルールの指定など)にも及ぶ。
条約第2条(3)は「当事者がこの条にいう合意をした事項について訴えが提起されたときは、締約国の裁判所は、その合意が無効であるか、失効しているか、又は履行不能であると認める場合を除き、当事者の一方の請求により、仲裁に付託すべきことを当事者に命じなければならない。」として、仲裁合意の執行メカニズムを規定する。そうすることで、条約は、仲裁合意の非認識を限定した。条約の起草者は、国家の裁判所が国際仲裁合意を無効と判断する余地を残さなかった。