前述のように、いくつかの裁判所は、歴史的に仲裁合意を取消し又は特定履行の対象外と判示し、紛争の仲裁可能な訴訟に係属することを拒否した 。これとは対照的に、仲裁可能な紛争を訴訟しない仲裁合意の消極的義務違反のための主要な現代の救済は 不適切に開始された訴訟の却下又は その訴訟の強制的係属 のいずれかである 。
上述したように、この条約の第二条(3)は、仲裁合意に違反した国の裁判所における手続の却下又は係属を定める。第二条(3)は、 仲裁合意が 条約の下で執行可能な場合に司法手続の却下又は 係属を 拒否する 裁量を裁判所を残していない。むしろ、 それは 強制的に国家の裁判所が 仲裁に付託することが必要である。
いくつかの仲裁法(米国、イギリス、カナダ、シンガポール及びその他のコモンローの法域含め)は、明示的に、仲裁合意に違反した訴訟の係属を定める。その他の国(フランス、スイス、ドイツなど主にシビルローの法域)では、法律は、裁判所が仲裁可能な紛争に対する管轄権を拒否する必要がある。
このように歴史的に多くの場合、強制力がなかった国際仲裁合意によって課される消極的職務の具体的な実行を命令する義務を裁判所に課すことは、ニューヨーク条約と近代的な仲裁法令の主たる成果の一つだ。