仲裁合意もほぼ正確にその積極的効果の鏡像である消極的効果を有する。つまり、実質的にすべての当事者が仲裁によって解決するために積極的に義務付けられている紛争に関して、同等の消極的義務は、そのような問題の訴訟を禁じる。
ニューヨーク条約第II条(1)、II(3)は、仲裁契約を「認識」し、「仲裁に付託する」と定める。
ニューヨーク条約第II条(1)
各締約国は、契約に基づくものであるかどうかを問わず、仲裁による解決が可能である事項に関する一定の法律関係につき、当事者の間にすでに生じているか、又は生ずることのある紛争の全部又は一部を仲裁に付託することを当事者が約した書面による合意を承認するものとする。
ニューヨーク条約第II条(3)
当事者がこの条にいう合意をした事項について訴えが提起されたときは、締約国の裁判所は、その合意が無効であるか、失効しているか、又は履行不能であると認める場合を除き、当事者の一方の請求により、仲裁に付託すべきことを当事者に命じなければならない。
これらの規定は、国家の裁判所の訴訟への係属又は却下のいずれかを要求することによって、仲裁合意の消極的効果を適用する。条約が適用される場合、多くの当局は、第二条(1)及びII(3)は仲裁合意に効力を与える強制的(裁量的でない)義務を課すと判断する。
ほとんどの仲裁法は仲裁合意によって課される義務と同一の消極的効果を与える。
モデル法第8条(1)
仲裁合意の対象である事項について訴えの提起を受けた裁判所は、当事者の一方が本案に関する自己の最初の陳述より前にその旨申し立てたならば、仲裁に付託すべき旨を当事者に命じなければならない。但し、裁判所が、合意が無効であるか、効果を生じえないか、履行が不可能であると認める場合にはこの限りでない。