前述したように、仲裁合意を実施するために、ニューヨーク条約第二条に定める一般的な義務への様々な例外が含まれている。これらの例外の一つは、 紛争の特定の種類によっては、有効な仲裁合意にもかかわらず、仲裁できないと規定する、いわゆる
仲裁適格の法理 である 。
条約第二条(1)は仲裁合意を認識するために当事者の推定的義務に対する例外を定める。第二条(1)に基づき、締約国は「仲裁による解決が可能である事項に関する一定の法律関係につき」仲裁に付託する。同様に、第五条 (2) (a)は、仲裁判断の承認及び執行は、承認及び執行が求められた国の権限のある機関が「紛争の対象である事項がその国の法令により仲裁による解決が不可能なものであること」を認める場合においても、拒否することができるとする。これらの規定は、仲裁合意と仲裁判断の両方に対する仲裁適格の抗弁の主張を認める。
条約のように、ほとんどの国で法律が仲裁による解決ができないとして一部の請求のカテゴリを扱う。モデル法第1条(5)は、一定のタイプの紛争が仲裁による和解に対応していない(又は「
仲裁不適格 」)として扱われうることを定める。事実上すべての国家は、法律や司法判断によって、紛争の特定のカテゴリを 仲裁不適格であるとしている 。